Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
「…やっぱり一緒に行こうか? ちょっと待ってて。支度するから」
「あっ…ほんとに大丈夫ですから。大通りもすぐですしタクシーもすぐつかまると思うし。すぐ帰ってきますから心配しないで寝てて下さい」
「…なんか“すぐ”ばっかりだな(笑)
まるで…まるでそのドアが“どこでもドア”になってるみたいだ」
俺の言葉に村瀬がふんわり笑う。
村瀬の笑顔は出会った頃と何も変わらない。
たんぽぽの綿毛のようにあちこちにふわふわ飛んでいって、行く先々で根を這って、やがてその周囲にいる人々に優しい笑顔を咲かせる。
ひとところに落ち着かないから、
いろんな場所に飛んで行くから、
だから…
…この手に捕まえておくことができない。