Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]



――AM4:52分



深夜遅くに降り出した雨はこの頃にはほとんど上がっていて、白み始めた早朝の空には、厚い雲の透き間からうっすらと青空が見えていた。



一昨日と同じく村瀬を自分の部屋に連れて入る。



部屋の電気をつけて肩に担いでいた村瀬をそっとベッドに寝かせた。



まるで西崎さんからかっさらってきたようなスタイルだけど。
(まぁあながち間違ってないけどさ)



右腕負傷の俺には当然お姫様抱っこなんて出来るはずもなく、寝ている村瀬をタクシーから降ろすにはこの方法しか他になかった。



いや、川本をたたき起こして手伝わせるって選択肢もあったんだけど…



よく考えたら今の村瀬は慌てて着の身着のまま俺んとこに飛んできたせいかノーブラなんだよな。



そんな状態の村瀬を川本に運ばせようものなら、別な意味で川本の命が危険にさらされるっつーか。



例えば――死因:鼻血とか。



それはさすがに川本を産んでここまで育ててくれた川本の両親に対して申し訳ないので川本をたたき起こすって選択肢は消去した。



それにこの時間帯に川本を病院送りになんかしたらまたあのインチキエロ眼鏡ザルに会うかも知れないしな。





『ご利用は計画的に』





チッ…
あの野郎、思い出しただけで虫酸が走る。



絶っ対あのエロザルの前で村瀬の股は開かせないからな。



俺はヤツからもらったゴムを未使用のままゴミ箱に投げ捨てた。





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