Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
「…ごめんなさい。連絡が遅くなって」
まだ言い訳が思いつかない。
何て言って説明しよう。
『いや、おまえが無事ならそれでいい。
よかった…声が聞けて。
もしかしたら途中で事件や事故にでも巻き込まれたのかと思った』
「…ごめんなさい。携帯ずっとマナーモードにしてて」
『うん…そんなことだろうと思った』
西崎さんは気が抜けたように笑う。
『大変だったな。お疲れ。あまり寝てないだろう? もう帰れそうなのか? 迎えに行こうか?』
西崎さんの優しい声に涙があふれそうになる。
「大丈夫です。もう少ししたら帰ります」
『じゃあ昼飯作って待ってる』
何も聞かない西崎さん。
きっとどこかで分かっているんだと思うけど、嘘をついたことをいっさい責めたりしないで、こんなふうに気を配ってくれるところがやっぱりあたしと違って大人だなぁって思ってしまう。
あたしも西崎さんみたいな包容力のある人間になりたいな。
過ちも弱さも狡さも何もかも優しく包み込める人間に…
「西崎さん。お昼ごはんリクエストしてもいいですか?」
『いいよ。何が食べたい?』
「――昨日食べたパスタを。また食べたいです」