Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
西崎さんは柏田さんとは同い年だからその辺りの話は一度語り出すとバカみたいに盛り上がるんだそうだ。
「福嶋も村瀬と同い年だろ? やっぱ話が合うんだろうな、23歳同士」
「うーん…まぁ流行りの音楽とか流行のスポットとか最近の言語くらいですかね」
「あ〜俺、若者言葉はさっぱり分かんないな(笑) あと暗号みたいなメールとかも」
「ああアレ、俺も読めませんよ(笑) つかそもそもメールとかあんましないし。でもまぁ同い年でも男と女で結構話合わないときありますよ」
特に村瀬は箱入りで世間知らずだし。
下ネタなんか話そうものなら日本語とマサイ語ほどの言葉の壁でもあんのかと思うほど通じないときあるし(笑)
ま、それがツボなんだけど。
俺たちはそんなふうに他愛のない話をしながら、ときどき村瀬の部屋の様子をうかがっていた。
「…なかなか寝ないな、あいつ」
AM1:38分、村瀬の部屋の電気はまだ明々と点いていた。
「怖いから電気つけっぱなしにして寝たんじゃないのかな?」
「……」
正体も現さないで恐怖だけを一方的に与えるなんて絶対に許せない。
「…絶対に捕まえてやる」
爪が食い込むほどに拳を握りしめた。