Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
「…その母親代わりの人が好きだったんですか?」
「…当時は好きだと思ってたんだけど、今となってはあれはただの憧れか、ただ母性愛を欲していただけなのかもしれない。そんなふうに思ってる」
「…じゃあ西崎さんの心に今ある人は、…誰ですか――?」
「……」
西崎さんは沈黙する。
答えが見つからないのか視線をさまよわせて、やがて唇をきゅっと噛み締めた。
言えないとばかりに。
「…福嶋は、おまえの心には……誰か決まった人がいるのか?」
「え…」
逆に質問されて、直後に動揺が胸に拡がる。
「俺は…」
俺の心の中には…
…何でだ?
…何でなんだ?
訊かれた瞬間、思い浮かんだのは…
村瀬じゃなくて、
なぜか――…ユリカの顔だった。
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