Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
――ミーンミンミンミンジー…
高3の夏。
今年の春に大学に進学し、一人暮らしを始めたユリカのアパートに俺は夏休み中ずっと入り浸っていた。
…もはや半同棲状態というほどに。
「…私、隼人の両親からあんまりよく思われてないんじゃない?」
「何で?」
「大事な息子が夏休みに入ってから彼女の部屋に行きっぱなしなのよ?
私が、年下でまだ高校生の隼人のことをたぶらかしてるとか思われちゃう」
「思わねぇよ。ウチの親、ユリカのこと気に入ってるし。お袋なんかいつも『デキたお嬢さんだわぁ』って褒めちぎってるし」
「ほんと?」
「うん。またいつでも遊びにいらっしゃいって言ってたよ」
「ほんとにほんと?」
「ほんとにほんと(笑) それにウチの親、俺がちゃんとやることやってりゃ、なーんも口うるさいこと言わないんだよ」
「やることって? 勉強? バイト? 家の手伝い?」
「ブー。どれもハズレ」
俺はふふんと鼻で笑ってユリカに覆いかぶさる。
「正解は―――セッ…」
――ぱちんっ…
「…っ゙て(+_<)」
ユリカが唐突に額を叩く。
「ごめん。蚊が止まってた(^-^)v」
すべてお見通しのように微笑んで、裸のままするりと俺の下をくぐり抜ける。
「“せっ”かく天気もいいことだし、ウチに篭ってないでどっか出かけようよ。…ねっ?( ^ー゚)」
・・・・・・
……何で“せっ”を強調すんだよ。
やっぱりこういうところ年上のユリカのほうが一枚上手なんだよな。