Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]
『…何でまた建築士になりたいって思ったんだ?』
『それは…』
好きな女を追いかけて…なんてダセーこと言えるわけがないし、それじゃ志す動機が不純すぎる。
『け…建築に関わる仕事がしたくて』
『だったら大工の親方で何も問題ないじゃないか?』
『だからー』
何で俺に力仕事させたがる?
結局この学校の奴らの就職先がほとんどガテン系しかないからか?
なんだかんだ言って頭使う職種に就けるようには指導してくれないんだな。
こいつも口先だけか…
『もういいよ』
落胆する気持ちを抑え、担任がなにやら棚をガサゴソと漁っている間に生徒指導室を出て行こうとすると…
『おい、どこ行くんだ?』
『いや、もう話終わったろ?』
『いつ終わったんだ、いつ』
そう言って担任は俺をふたたびソファーに座らせ1冊の本をテーブルに置いた。
――専門学校ガイド?