Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]



たぶんドアを開けられたり窓を開けられたりしたら仕掛けが作動するようになっていたんだろう。



鳴子板が張り巡らされていて、これが近所迷惑極まりない得体の知れない音の発信源だった。



今もガラガラと侵入者を知らせる音が鳴りやまない。



「つか忍者屋敷かよ!」



「あーっ、福嶋くんソコ! 足元のピアノ線、タライが落ちてくるから気をつけて!」



「ド●フかよ!」



「あーっ…そこ踏ん付けちゃダメ! 吹き矢飛んでくるから!」



「必殺仕●人かよ!?」



昔、ホームア●ーンっていう泥棒から自宅を守るために様々な仕掛けを作って立ち向かっていく子供を描いたコメディー映画があったけど、まさにそれみたいだな。



これみんな村瀬が作ったのか…?



「何だよコレ、こんにゃくじゃねーか! 肝試しかよ!!」



あちこちに仕掛けられた罠を村瀬に教えてもらいながら次々かい潜っていく福嶋。



そうして、やっとのことでベッドの上に座っていた村瀬のもとにたどり着く。





「…大丈夫か?」



「…ぅん……大丈……グスッ……」



村瀬から福嶋に手を伸ばし抱きついた。



「……福嶋…く……―――怖かっ…た…」



福嶋の胸のなかで泣きじゃくる。



「…大丈夫。…もう大丈夫だからな。…おまえ1人でよく頑張ったじゃん。な?」



「……ぅん……ぅん…」



子供みたいに泣きじゃくる村瀬を優しくあやす福嶋。



信じられない光景だった。



あの福嶋がこんなに優しい態度をするのか?



こんなに優しい声色で話すのか?



そして福嶋の腕のなかに包まれている村瀬は、こんなにも安らかな表情をするのか?





まるで福嶋しか必要としていないような村瀬。



こんな安らかな表情の村瀬も…



2人が抱き合う姿も…







はっきり言って見たくはなかった――…












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