強気なミオと優しいオミ
誰もいない駅までの道程。


暗くて静かで…


「音響室を思い出すね…」


こんなふうに暗くて静かな部屋だった。


「夢って…あの頃の夢?」


「そうなの!
入学式から文化祭まで♪
普通に一年の頃に戻ったみたいだったよ?」


「へー…
懐かしいね。」


懐かしい…


「そっか!!
さっき、あの紙見たからかなぁ♪」


「…一年の子が持ってた紙?」


それだ!


すごく懐かしかったから夢に見たんだ♪


「楽しかったなぁ…
オミと出会って、体力測定で対決して、夏休みに文化祭の準備して、プール行って、勉強教えてもらって…」


私はチラリとオミを見た。


あの頃は同じ目線だったのに、あっという間に身長は抜かれてしまった。


「で、文化祭で『ロミオとジュリエット』やって…
舞台の上で初めてキスして…
それから付き合い出した♪」


私はもう片方の腕を、繋いでいるオミの腕に絡めた。
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