強気なミオと優しいオミ
駅までの道程も、オミは思い出し笑いをしながら肩を震わせた。


「ねぇオミさん?」


「ん?何?」


オミは目尻に溜まった涙を拭いながら私を見た。


「こうして一緒に帰るの初めてだね♪」


「…そういえばそうだね。」


なんか入学式の日を思い出すなぁ。


「私入学式の日に寝坊して遅刻したでしょ?
その朝に慌てて電車に乗ったら、同じ制服を着た男子が乗ってて…
『ギリギリなのは私だけじゃないんだ』って、ちょっと安心してたのに、駅に着いて気付いたらその子はもういなくてさぁ…」


「…それでミオ一人が遅刻したんだ?」


「そう!
あの子近道とか知ってたのかな?」


「…顔覚えてないの?」


顔かぁ…


「忘れちゃった♪
今までその子の事も忘れてたし…
それにしても、なんで急に思い出したのかな?」


夕陽が辺りをオレンジに染めていた。
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