秘密の鎖
私は優也の部屋へ行った。
優也はまだ起きていたらしく、私が部屋に入ってくると大きな目をぱっちりとあけて、心配そうに私の服の裾を掴んだ。
「お母さん、なんで怒ってるの?」
お母さんにあまり叱られたことのない優也は、お母さんの怒声にびくびくしているようだ。
私は慣れてるからどうってことないけど…
「それがね、よくわかんなくて。さっきお客さんがきて、その人見るなり変わっちゃって。どういうことなんだろ」
優也はうーんと考えこむような顔をした。
「その人、男の人?」
「え?うん」
「じゃあ、お母さんの昔の愛人かも」
真面目に言う優也をみて、
私は思わず吹き出してしまった。
「それはないと思うよ。だって、20代くらいの若い人だもん。お母さんなんて40過ぎてんだよ?ありえないありえない」
「えー、そう?」