秘密の鎖

「あやかの、トコ」


「あやか?」


私の口からあっさり名前が出て、
夕月さんは不意をつかれたような顔をしている。


「あやかと、明日も一緒に遊ぶの」


嘘じゃない。


嘘じゃないよね。

ちょっと発音変えちゃったけど。

あいつが女の子の名前っぽい苗字でよかった…!


「なんだ、よかった」


夕月さんはいつもみたいににこっと笑った。


胸がチクン、と痛む。

手を伸ばして私の頭をくしゃくしゃ掻きまわし始めた。


「悪い奴に引っかかってたらどーしよーと思ってたよ」



(…ごめんなさい、引っかかってます!)



< 100 / 230 >

この作品をシェア

pagetop