秘密の鎖
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「きゃあああ~」
玄関で出迎えた夕月さんを見た途端、
莉沙は顔をキラキラさせて頬に手を当てた。
私はその隣で莉沙に白い目を向ける。
「さすがビィの友達、可愛いね」
夕月さんも余計なこと言わなくていい!
今度は夕月さんを睨んだ。
隣でますます莉沙が頬を染めているのがわかった。
「どうぞあがってよ。あとで飲み物持って来るから」
「別にいいで…いいよ、私が準備するから」
冷たくそう言うと、惚けて動かない莉沙の腕を引っ張って、部屋に引きずり込んだ。
「莉沙、莉沙!しっかりして!」
パチン、と音をたてて莉沙のほっぺたを両手で潰す。
莉沙の唇がタコみたいに突き出してしまった。
「ああ、美緒…」
莉沙はタコみたいな口のままもごもごと喋った。
「美緒のお兄ちゃん、最高だね…」
「莉沙ー!」
ガク、と顔を下げる莉沙の冗談につきあって、 莉沙の肩を掴んでユサユサ揺らした。