秘密の鎖

とりあえず、夕月さんにメロメロな莉沙を残してジュースを取りに部屋を出た。



しかし



ドアの前には、すでにジュースとお菓子をお盆に乗せた夕月さんがスタンバイしていた。


「俺も参加させてよ」


ちゃっかり自分の分も準備して、にこにこ笑いながら願い出てくる夕月さん。


「絶対嫌」


お盆に手を伸ばして受け取ろうとしたけど、夕月さんは離す気がないらしい。


「「………」」


お盆は二人の間で一寸も動かない。


「離してくださ…あ、間違った、離してよ」


眉を寄せて夕月さんに抗議した。


「ビィが中に入れてくれるならね」


夕月さんは本気で会話に交ざりたいらしい。


何を企んでるのよ!


「嫌!ガールズトークするの!」


「ガールズトーク俺もしたい」


「やだ!だめ!邪魔!」


お盆を引っ張り合ってお互い譲りあわないでいると、部屋のドアが静かに開き、不思議そうな表情の莉沙が顔を覗かせた。


「何してるの?」

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