秘密の鎖
ガラスのコップにそれをなみなみと注いでいると、お母さんがこちらを見つめていることに気づいた。

そっと顔をあげて目があっても、お母さんはまだじっと見ている。

さすがに怖くなって、コーヒー牛乳を口に含みながら


「何?」


と聞いた。


「話があるのよ」


私はドキリとして、コーヒー牛乳を飲むのをやめた。


トースターに釘付けになっていた優也も、こちらに顔を向けている。


「優也もこっちにきて。……座って」


私達は大人しく椅子に座った。

お母さんはそれを確認してしばらく視線を泳がせたあと、決まり悪そうに口を開いた。


「昨日の夜、家にきた人、美緒、覚えてるわね」

「うん、覚えてる」


優也がちらりと私を見た。


「昨日、あの人と話し合って……美緒を、預けることに、したの」


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