秘密の鎖

「つい最近流され始めたんだよ。いつ気づくかなーって思ってたんだけど、塾のCMなんてあんまり流れないからなかなか気づかなかったみたいだね」


私は目を白黒させた。



え?

え?

さっぱりハナシが見えないんですけど……


「いや…だからなんで夕月さんが映ってんの?」


今度は私の邪魔もなくネクタイをするりと首から抜いて、ボタンを2個開けるとふぅと息を吐いた。


「始めてバイトに入ったとき、CM用に塾講師達のコンテストしててさ。たまたまその審査員みたいな人が塾に来てて見初められたってわけ」


あのね、見初められたって……





でもわからなくもないな。


これじゃあ、私が始めて夕月さんを見たときに芸能人かと思ったのもあながち間違いではないんだ……


「あの、夕月さん」


「ん?何?」


私がきちっと正座してるもんだから可笑しいみたいで、ちょっと最後の方の声が震えていた。


「他のやつにも出てたりしてるんですか?これからも何か出たりとか……」

< 138 / 230 >

この作品をシェア

pagetop