秘密の鎖
私がなんとなく沈んでいると、隣でチッと舌打ちする音が聞こえてきた。
見ると莉沙が体は伏せたまま顔だけ上げて、女の子達を睨みつけている。
「ウザ~。カワイコぶっちゃって!なにが『見とれてるのが悪いんです~』よ……」
ひぃっ……
なんか黒いオーラが莉沙から出てる!
怖い!!
「悪いと思ってるなら授業ちゃんと聞きなさいよ…ってわけで、美緒!行ってこーい!」
「ええっ!?」
いきなり莉沙の腕がひょいっと伸びてきて私を捕まえて、背中をドンッと押した。
私はその衝撃でよろよろっとよろめいた。
「何でーっ?」
何とか体勢を戻しながら莉沙を振り返ると、ビシッと指をさされた。
「夕月さんをあの魔女達から救い出せるのは美緒しかいないの!」
「私!?無理無理無理!」
手を顔の前でブンブン振って、首もブンブン横に振る。
死んじゃう!
あんなとこ突っ込んでったら死んじゃうよ!
「大丈夫、美緒には殺れる」
「殺らないよ!?」
親指を立てて励ましてくる莉沙にまた背中を押されて、渋々女の子達が囲んでいる教卓に近づいた。