秘密の鎖
「それにしても……」
夕月さん、ちゃんと手を打ってくれたんだ。
私が女の子たちに何かされたりしないように。
まあ、私の身の危険は夕月さんの発言のせいでもあるんだけどね……
感謝していいのか何なのか、その狭間でふよふよさまよっている最中に夕月さんが教室に入ってきた。
手には英語の教科書。
なんとなく見つめていると、教科書を教卓に置いて顔をあげた夕月さんとバチッと目が合ってしまった。
やばっ
と慌てて目を逸らそうとすると、夕月さんがにこっと笑った。
それがあんまりにも不意打ちで、自然で
「……っ」
私はガバッと机に伏せた。
なんなのなんなの!
今のナシ!ナシナシ!
机に額をゴツゴツぶつけている私を見て、莉沙がどうしたの?と聞いてきたけど私はそれどころじゃなかった。
ここは素直に、夕月さんに感謝しとこう。
そんなことを思う、バカな私。