秘密の鎖
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「ふー、終わったぁ」
本日すべてのコマが終了し、う~んと伸びをする。
すると。
「帰ろう」
授業が終わった途端、どこにスタンバイしていたのか夕月さんが私のところにやってきて言った。
私は嬉しさに思わず頷きそうになったものの、はっとして辺りをキョロキョロと見回した。
ちょっと待ってよ、また女の子たちに何か言われたら……!
と私は焦ったけど、女の子たちは夕月さんが私のところに行っても、しかも帰ろうなんて言っても昨日みたいに怒ってくることはなかった。
それどころかぽっと頬を染めている人もいる。
「妹さんを大切にする宮島先生、素敵」
どうやら夕月さんが兄妹だとふれまわってくれたおかげで、私を敵視する人はいなくなったらしい。
シスコンだとか言わないところが、夕月さんにメロメロの証拠。
私はそれを確認してから安堵のため息をついた。
「今準備するから」
「待ってる」
夕月さんはにこりと頷いて、私が帰る支度をしているのを大人しく待っている。
夕月さんを長く待たせるなんてことはできないので、せっせと鞄にいろいろ詰め込んでいると。
両隣から感じる痛いくらいの視線。
いえ、決して女の子たちの視線というわけではなく。
「………」
目をキラキラさせて手を組んでる莉沙と、面白くなさそうな綾香の視線。