秘密の鎖
「宮島センセ、こんなヤツが妹だなんて大変ですね」
綾香が夕月さんに絡み始めた。
マズイ。
これは早く準備を終えて夕月さんを救出せねば!
てか、こんなヤツって!?
「いつまでも妹の面倒なんて見てられないでしょ。俺が代わりに送って行きますよ」
綾香の生意気な言い方にカチンときていると、夕月さんはいやいや、と片手を振った。
「いいよ。こんな危なっかしいの任せられない。迷惑かけるに決まってる」
「ですよね。かなりのお荷物ですよね。宮島センセかわいそ」
何なの?
二人して面倒だの迷惑だのお荷物だのって!
もしかして遠回しに私にケンカ売ってる!?
荒々しく音をたててペンケースを鞄に突っ込むと、綾香がクスッと笑った。
「でも、可愛いから許せますけど」
ズルッ、ガツン!
私の足が滑って、その勢いで机の方に倒れ込んで額を打った。
キャーッという、私を心配しているわけではないミーハー莉沙の声が聞こえる。
「な、ななな何言ってんの綾香!」
痛む額に手をやりつつ、変なことを言うなと綾香を睨むと笑顔で返された。