秘密の鎖
そこにあるのは、夕月さんの腕をしっかりと掴んでいる私の手。
ああっ!
「や、あのっ、ごめんなさい!」
ああ、私なんてことを!
夕月さんの腕を掴んだまま引っ張ってきてたなんて!
慌ててバッと腕を離すと、夕月さんはいいよと言った。
「掴んでくれててもよかったんだけど、ただ――」
私の隣に追いつき、ふわりと私の手を大きくて温かいものが包む。
「こっちのほうがよくない?」
にこりと微笑む夕月さん。
きゅ、と私の手を包む手に力が入り、手を繋いでいるんだと理解した私はカァッと赤くなった。
「は、離、離れ、離して」
最早何を言いたいのか自分でもわからない私は、ジタバタと腕を振って夕月さんの手を振りほどこうとした。
夕月さんはそんな私を見てからクスリと笑って、今度は自分が私を引っ張って歩きだした。
「わ、ちょっとっ」
ぐいっと引っ張られてこけそうになり、変な悲鳴をあげそうになるのをこらえた。
夕月さんは楽しそうに私を引っ張り続ける。
「さー、帰るよ。さっさと帰ってプリントやろう」
「え」
夕月さんの言葉に立ち止まりそうになると、夕月さんは私の方に振り返った。