秘密の鎖
なんて必死に赤くなってるのがばれないように祈っていると
夕月さんは私のほっぺたをむにっとつまんだ。
「!?」
予想外の行動に、私は目を見開くしかなかった。
夕月さんの顔を見上げると、楽しそうに笑ってる。
「俺が直々に教えてあげるって言ってるんだから、ビィは心配なんかしないで素直に喜んでればいいの」
そう言って私のほっぺたから手を離し、また私を引っ張って歩き出した。
「ほら、早く帰ろう」
「……はい」
私はとうとう俯いてしまった。
決して、恥ずかしいとか、顔が赤いのを隠したいとかいうわけじゃなく。
嬉しくてにやついてしまいそうになるのを誤魔化すため。
繋いだ手の温もりが、温かいココアみたいに胸にじんと広がった。