秘密の鎖
夕月さんの視線から逃れるように、慌ててこころさんに顔を向けた。
「と、ところでこころさん、なんでここに?」
「ほんとだよ。来るなら来るって前もって言ってくれないものかな。いっつも急に来て」
夕月さんも私に続いてそんなことを言ったので、こころさんはむぅっとした顔で腰に手をあてた。
「なーによ、その言い方。連絡してもしなくても一緒でしょ?それとも何?私にバレたらまずいことでもあるわけぇ?」
「ないけど?」
夕月さんはそう言い捨てて、こころさんのためにお茶を淹れに奥へ引っ込んでしまった。
なんだろ、夕月さん。
今日は何だかこころさんに対して少しツンツンしてない?
「私が何の話をしに来たのか感づいてるのかしらねぇ?」
「?」
何のことかわからないでいるうちに、こころさんに手を引かれてリビングのソファに腰を下ろした。
本来なら私がお茶を淹れにいくべきだったろうに、気の利かない私。