秘密の鎖
夕月さんの口から何も言われないまま、3日が過ぎた。
いつ言われるかとハラハラしながら過ごした3日間、少し疲れた。
告げられたときに、どんな反応をしたらいいかわからない。
悲しんでいい?
さびしがっていい?
一緒にいたいと縋ってもいい?
でもそれは夕月さんにとって、きっと迷惑だ。
私を預かり続けるなんて、女の人を遠ざけてしまうだけなんだから……
今日は塾を抜け出して公園にいた。
木でできたベンチに体操座りして、ゆらゆらと体をゆりかごみたいに揺らした。
……どうしよう。
私、どうしたらいいんだろう。
夕月さんと離れたくない。
こんなのわがままかもしれないけど
離れてもまた会えるけど
近くにいたいのに……
「お嬢さん」
地面に陰ができ、上から声が降ってきた。
この声は……
一瞬間を空けてから顔をあげた。
陰の主は、顔をあげた私を見てふっと笑った。