秘密の鎖

「あの人から手紙……」


夕月さんは手紙をじっと見ながら呟いた。


少し表情が曇った気がした。

でもそれも一瞬で、すぐにいつもの笑顔をららさんに向けた。


「わざわざありがとう皐月。もう頼まれても届けてくれなくていいから」


「え…」


そう言い捨てて、目を見開くららさんをよそにさっさと部屋に入ってしまった。


ちょ、ちょっと夕月さん!?


「ごめんなさいららさん、また来てくださいね!」


ぽかんとして口を開いたままのららさん。

夕月さんのあとを追いかけて、私もあわてて部屋の中に入った。


「夕月さん、いくらなんでも失礼……」


「ごめん、ビィ。ちょっと一人にさせて」


夕月さんは自分の部屋に入りこみ、注意しようとした私の目の前でドアを閉めた。


「………」


開いたままだった口を静かに閉じた。


夕月さんが部屋の中に消えてったドアを見つめて立ち尽くす。



どうしちゃったんだろう


いきなり……



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