秘密の鎖

そうやってふてくされているうちに、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。



ふいに夕月さんの部屋のドアがカチャッと開いて、夕月さんがゆっくり近づいたのに気づかなかった。


「何やってんの……」


呆れた声を夢うつつに聞いて、ん、と声を出す。


「こんなとこで寝たら風邪ひくよ」


肩をゆるく揺すられて、私はうっすらと目を開けた。

夕月さんが目の前に立っていて、はっとして体を起こした。


「夕月さん」


出てきたんだ、良かった。


「私はこのまま夕月さんがひきこもりにでもなってしまうのかと……」


「バカ」


くすくすと笑う夕月さんに、私はほっと胸をなで下ろした。



良かった、いつもの夕月さんだ。



夕月さんはテーブルの上に目をやり、特製スペシャルハンバーグ定食を眺めた。

もうだいぶ(いやかなり)冷めている。


「…先に食べてて良かったのに」


呟いた夕月さんに私は首を横に振る。


「嫌ですよ。もう一人分目の前にあるっていうのに一人で黙々と食べなきゃいけないなんて」


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