秘密の鎖

なんか寂しいでしょ、と言うと夕月さんは黙ってテーブルの上を見つめた。


その横顔にどことなく憂いがあるような気がして、それがまたきれいだと思った。


「そっか、ごめん」


「私が餓死したら夕月さんのせいだからね」


「はは」


椅子を引いて座り、私と正面で向かいあう。


「お腹すいたでしょ、今温めるね」


そう言って立とうとすると、夕月さんの手に捕まえられて立てなかった。


中途半端な体制のまま、座っている夕月さんを見下ろすかたちになる。


「ビィ聞いて」


夕月さんのいつになく真剣な目とかち合った。


胸騒ぎがする。



いつもの、ちょっとふざけてる夕月さんはどこに……






「俺、カナダに行くことになった」



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