秘密の鎖
「……話したい、夕月と…」
ららさんはぽつりとこぼし、月を見上げた。
憂いのあるららさんの横顔は、儚げでやっぱり綺麗。
夜の風が髪を揺らして、美しさをいっそう引き立てている。
私はこくりと頷き、ららさんの手をそっと取った。
「行きましょう、ららさん。カナダに行っちゃったら、しばらく話せなくなりますよ」
そう、ららさんはしばらく。
だけど私は……
お姫様のようにららさんはゆっくりと立ち上がり、ふわりとした笑顔を見せた。
いつものららさんのように。
「ええ、ありがとう。美緒ちゃん」
「…いいえ」
にこっと笑って、ららさんと並んで歩き出した。
心の中のどこかで
二人を会わせるのは嫌だと、
そう感じた自分が嫌だった。