秘密の鎖
「で?その女に夕月さんを譲ってきて、あんたはここにいるってわけ?」
「そんな風に言わないでよ……」
夕月さんがいるマンションにららさんと二人で行ったあと、気を利かせた私は二人が話している間に抜け出して莉沙の家に転がり込んでいた。
莉沙はいつになく凄い剣幕で私に言葉を投げかけてくる。
「バカじゃん!敵に塩送ってんじゃねーよ!」
「莉沙さんコワイ……」
「ああん?」
仁王立ちで私を睨みつけてくる莉沙から目を逸らし、ズズ、と湯のみのお茶を啜った。
だって……
夕月さんはららさんのこと大切に思ってると思う。
名前で呼ばなくなったのも、年を重ねて恥ずかしくなったとかそういうことだと思う。
離れたくはない、近すぎず遠すぎず、仲良くやっていきたいと思ったからこそ上手く付き合えなくなったんじゃないのかな……
もし二人が相思相愛だとしたら、今気持ちを伝えておかないとすれ違ったまま離れてしまうことになる。
だから……
「あーのーねぇ!」