秘密の鎖
コイツ面白がってるだけだ!!!
莉沙の眉は下がり、口元は楽しそうに弧を描き、わくわく、といった顔をして私を追い立てている。
このやろ―――!!
私のことを思ってくれてるわけじゃないの!?
「じゃ。またね、美・緒」
ひらひらと笑顔で手を振る莉沙は、無情にもドアを目の前で閉めた。
慌ててインターホンを連打すると、「迷惑。つきまとわないで」と言われたきり応答がなくなった。
私はあんたの元彼でもストーカーでもない!!
ちょっと泣きそうになりながらしぶしぶ莉沙の家をあとにする。
追い出されてしまったからにはどうしようもない。
ホテルに泊まろうにもあいにくそんなお金は持ち合わせておりません……
とぼとぼとマンションに戻った。
中に入ることがためらわれて、どうしようもなくドアの前で佇んでいた。
もう帰ってれば問題ないけど、いらっしゃるなら邪魔者以外の何でもないんじゃないの?
一回出ていっといて戻ってくるなんて反則なんじゃないの!?
「あ。おかえり、何してんの?」
「うわぁ!?」
突然ドアが開いてひょっこり夕月さんが顔を出し、思わず飛び跳ねてしまった。