秘密の鎖
「ねっ、カッコイイでしょ!」
莉沙が興奮ぎみに言っているのを聞いた。
「うん、ほんとに…」
長すぎず短かすぎない髪は濃い茶色で、
風が吹くとかすかに揺れた。
そして何よりなんて綺麗な顔―――――
思わず見とれていると、その人と目があってしまった。
(しまった、どうしよう!目があっただけなのになんか恥ずかしい!)
あわてて目を逸らしていると、その人は商店街の奥に消えていった。
「あーあ、行っちゃった。かっこよかったのに」
莉沙の残念そうな声がする。
「残念だね」
私も莉沙の声に頷いた。
でも
確かに
目があったときあの人は
微笑んだ気がした―――