秘密の鎖
「いくら俺の料理がオソロシイからって、そんな落ち込まないで欲しいんだけど」
…………、
はい?
「で、え?『俺の料理』?」
私は目を泳がせてお鍋を指差した。
中に入っているスープ……
まさか夕月さんが作ったっていうの?
いや料理という料理ではないけど夕月さんはスープすら作れるか怪しいし
「嘘」
「嘘じゃない。ほんと」
自信満々に言うから、本当に夕月さんが作ったのかもしれない。
それじゃ作ったのはららさんじゃないんだ。
でも
なおさらこのスープ
「い、いらない」
「ヒド」
過去の夕月さんの料理を知っている私は、ブンブン首を振って拒否した。
夕月さんはクスクスと笑って、いらないと言ってるのにも関わらずお鍋を火にかけはじめた。
私に、それを、飲めという!?
こっそり部屋に逃げこもうとしたら、捕まえられた挙げ句テーブルについた。
目の前には、湯気のたつスープ。
おいしそうな香りがふわりと漂って……
って、おいしそうな香り!?
どこからどうみても“普通の”野菜スープに困惑していると、夕月さんも私の前に座った。