秘密の鎖

「大体あんたがあんな怪しげな言い方するからでしょ!」


私の穏やかな学校生活を返せ!!


「俺は何も~」


「しらばっくれるな!」


「まぁまぁまぁまぁ」


憤る私を綾香が制する。


私もあんまり怒るのは大人げなさすぎな気がして、そのくらいでやめといてあげた。

つい荒くなってしまった息を深呼吸して整えて、改めて綾香に向き直る。


「で、話って何の?」


腕を組んで一応『聞く体勢』をとった私を見て、綾香はくすりと笑った。


「強がってんね」


「なにが?」


腕組んでることを言ってるのだろうか。

でもこれは私なりの意地でして……


なんて考えていたのに、綾香の『強がってる』が指し示すところは別だった。



「泣きたいなら泣けば?」



綾香はそう言って私の頭にポンと手を置いた。


私ははっと目を見開く。


「…我慢してんのバレバレ。たぶん莉沙も気づいてる」


「………」


そんなはずないよ。

だって私、莉沙の前で弱音なんか吐かなかったもん。


もちろん、綾香の前でだって……


「カラ元気なのは見ればわかる」


綾香は私の頭をくしゃくしゃやりながら、ほら泣けよ、と促してくる。


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