秘密の鎖


ららさんは…、


後押ししてくれたんだね。


あの日にスープ作ったのもららさんが夕月さんに言ってくれたからなのかも……



「ただいまー」



家のドアを開け、中に滑り込んだ。

まだ私より小さい弟のスニーカーと、お母さんのパンプスが並んでる。


お父さんのものは、ないけれど。



「おかえりお姉ちゃん」


優也がひょこっと部屋の奥から顔を出した。

その顔を見て、私はふっと微笑んだ。



帰ってきたとき、優也は喜んでくれた。


離れていたのがとても悲しかった、寂しかったと言ってくれた。


いつもケンカばっかりしてたけど、優也はやっぱり大切な弟。



「…お母さんは?」


鞄をドサッとソファの上におろし、せっせと宿題をやってる優也を振り返った。


「台所ー」


シャーペンを持つ手はすっかり止まって、テレビで繰り広げられているアニメキャラの闘いに見入っている優也。



……消してやる。



プツンッ



「あーーっ!!」


優也は悲鳴に近い叫び声をあげて、リモコンを持つ私をキッと睨みつけた。

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