秘密の鎖

「何すんだよ!バカ!」


ムカッ


「テレビ見ながら宿題なんかしちゃダメでしょっ」


お姉ちゃんらしく説教してやると、優也はひどく嫌そうに顔を歪めた。

そして衝撃の言葉を放つ。


「もぉーっ!お姉ちゃん、帰ってきてからうるさいババァみたいになった!」


「はああああーっ!?」


ババァ?

ババァ!!?


確かに夕月さんのせいでちょっと小うるさくはなったかもしれないけど!


「ババァはないでしょこのガキ!」


「ガキっていうとこからしてババァなんですー」


「はあああーっ!?」


いつのまにそんな切り返しワザを身につけたの!?

むかつくっ、悔しい!!


もうテレビつけてやらないわ。



私がリモコンを持ったまま部屋を出ようとしたのに気づいて、優也は慌てて謝ってきた。


「ごめんなさいごめんなさい、宿題終わるまで見ないから返してくださいお姉様」


なにがお姉様よ。


ちょっと吹き出しそうになりながら振り返り、リモコンを左右に振ってみせた。


「わかった。絶対よ」


「うん」


こくりと頷く弟に、リモコンを投げて返してやった。

そっとリモコンを隣に置いて、そのまま宿題を始める姿は素直でよろしい。

ていうか、可愛い。


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