秘密の鎖
夕月さんはペラペラとそう話しながら、リビングのほうに私を連れて行った。
やっぱ、広い。
…並じゃない。
黒くて大きなソファに座るように勧めてから、飲み物を取りに行ってしまった。
私は待ってる間暇だったから部屋を眺めまわした。
テレビもでかーい。
こんなに大きい必要あるの?
うわ、高そうな絵まで壁に掛かってる…
チェストの上には花瓶もあって、チューリップが生けてある。
こういうのも、夕月さんがやってんのかな。
「お待たせ」
飲み物の入ったグラスを2つ運んできて、
ガラス張りのテーブルに置いた。
氷のカラカラいう音が耳に心地よい。
私はグラスをひとつとって、ストローをくわえた。
口に入ってきた飲み物は、甘くて冷たい。
チョコレートドリンクだ。
…いっつもこんなの飲んでるの?
「で、昨日の続きなんだけど」
夕月さんは私がチョコレートドリンクを飲むのを眺めていたけど、
唐突に口を開いた。
「…はい」
妙に緊張して、背筋を伸ばす。
夕月さんは少しだけ口端をあげた。
「まぁ、ちょっと長くなるからリラックスして聞いてよ」