秘密の鎖
「俺のじいちゃんの家は、古い習慣を好むような家だった。
土地をたくさん持ってたし、家が広くてお屋敷みたいで、お金があるからって威張ってた。
お金持ちは偉い、なんて勘違いしてるんだよ。
でもケチだから、お金は全く使わないし、土地だからお金持ちって感じじゃなかったんだけどね。
両親は共働きだったから、俺と姉さんは昼間はじいちゃん家に預けられた。
躾が厳しくて、しょっちゅう姉さんは泣いてたけど、それでもいいと思ってたみたいだ。
じいちゃんとばあちゃんが大好きだったから。
厳しくても、それなりに優しかったのは優しかったんだ。
そんな感じで、幼少時代を過ごしたんだけど…
俺が5歳で姉さんが10歳のときに両親が離婚した。
父の浮気が発覚してね。
同じ職場の若い女の人だよ、全く呆れるね。
騙されたって気づきもしないで。
その女は遺産目当てだったんだよ。
上司だった母に、あなたの旦那さんはお金持ちでいいですねって、度々言ってたらしい。
それから何年もしないうちに父は浮気した。