秘密の鎖
毎日毎日父と母はもめてたよ。
目の前で父が母の首を絞めてたし、母は母で包丁を取り出してきたりして。
今思うと恐ろしいね。
で、父と母は離婚するかしないかで裁判を始めた。
そんなある日にね…
いつも通り俺たちはじいちゃん家に預けられてた。
そして、従姉妹が遊びに来た。
お菓子を持ってね。
別に俺たちは欲しかったわけじゃないのに、じいちゃんは従姉妹にこう言ったんだ。
こころと夕月はお客さんなんだからお菓子をあげなさい、って。
深い意味はなかったのかもしれないけど、
俺たちは子どもながらに傷ついた。
じいちゃんに捨てられたような気がした。
そして父と母の離婚。
父にも捨てられた。
姉さんは狂ったように泣いてたよ。
いつも泣かない姉さんが、叫んでるみたいに泣いてた。
無理ないよ、俺より父と過ごした年月は長かったんだし…
姉さんはしばらく立ち直れないで、学校も行かなくなったんだけど、そこでまた…」