秘密の鎖

「何でもいいです」


言ったね、と言いながらキッチンに入っていく夕月さん。



夕月さんって料理できるんだ。

そうだよね、一人暮らしみたいだしね。



私は夕月さんの後を追ってキッチンに入っていった。

夕月さんは冷蔵庫の前にしゃがみこんで中を覗きこんでいる。

悩んでいるみたいだ。


「何作るんですか?」


私も冷蔵庫を覗きこんでみながら尋ねた。

あんまり食材が入ってない…。

夕月さんは悩んだ挙句、卵と牛乳を取り出し、炊飯器を開けた。

中には炊きあがったばかりらしいホカホカのご飯。

何をするんだろう、と見ていると、なんと炊飯器の中に牛乳を注ぎこもうとしていた。


「ちょちょ、ちょっと!何してんの!」


慌てて腕を掴んで制止する。


「何って…」


牛乳入れてんだけど、ってキョトンとした顔で言う。


「…一体何を作ろうとしてるの?」


夕月さんはんー、と目を反らした。


「炒飯??」


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