秘密の鎖
夕月さんはちらりとあげた顔を炒飯に戻して、また一口運ぶ。
「俺、カッコイイ?」
「カッコイイですよ、私のお兄ちゃんにしては」
ちょっと最後のほうを強調して答えた。
夕月さんはちょっと考えるような顔をしたあと、
「ビィもかわいいよ」
と言った。
頬杖をついて、にっこりほほえむ夕月さん。
私は思わず手にしたスプーンを落としそうになった。
…ずるいでしょ!
そんな悩殺スマイル、私に向けないでよ~!
「…でも、俺とビィは」
ピンポン
夕月さんが何か言いかけたところでインターホンが鳴った。
私たちは一瞬だけ目を合わせて、
夕月さんが立ち上がった。
ピンポン
ピンポン
ピンポン
ピーンポーン
「はーいはいはい」
立て続けに鳴るインターホンに呆れたように玄関に行く夕月さんのあとに、
私もてくてくついていった。
ドアを開ける前に私をちらっと見たあと、
ため息をついてゆっくり開けた。
「お待たせしました、こころ様」
「遅いわねぇ」
ドアの前に立っていたのは、背の高い美人だった。