秘密の鎖
「父さんの娘」
夕月さんの
その言葉を聞いただけでこころさんは理解したようだった。
目を丸くすると、私を頭からつま先まで眺めまわした。
「…なるほど」
きれいなストレートの髪をサラサラ揺らした。
「確かに似てる。私にも、父さんにも…あの女にも」
私はごくりと唾を飲んだ。
「異母姉妹、ね」
こころさんがくるりと体を夕月さんのほうに方向転換したときは、心からほっとした。
こころさんは腰に手をあてて、夕月さんを見ている。
夕月さんもこころさんを見つめかえす。
私は壁にへばりついたままその様子を眺めていた。
「別によかったのよ。あの女は大嫌いだけど、この子は何も悪くないし…」
「ちょっとの間だけだよ」
「ちょっとの間って?」
「それはまだ決めてない。俺の気が済むまで」
「でも」
私は黙って姉弟の言い合いを眺めていたけど、ふいにこころさんが私のほうを見たのでドキリとした。
「夕月とこの子は父親も母親も違うのよ。心配だわ」