秘密の鎖

「…ビィ?」


夕月さんの心配そうな声がした。


何ごとかと思って夕月さんのほうを向くと、夕月さんが私の頬をやさしく指で拭った。

こころさんも私のほうを見て、びっくりした顔をしている。


「美緒ちゃん」


私はやっと気づいた。



私、泣いてるんだ。



ふいに力が抜けて
床にペタンと座りこんでしまった。



お父さん


本当に

もういないんだ


おかえりなさいも
もう言えないんだ

本当は話したいこと

いっぱいあったのに


こんなことなら
もっとちゃんと

お父さんと会話しとくんだった



…お父さん!


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