秘密の鎖
カーテンの隙間からこぼれてくるやわらかな光。
ベッドから起き上がって窓を開けると
朝独特の爽やかな空気が部屋に流れこんでくる。
しばらく風を頬に受けながらぼんやりしたあと、部屋を出た。
キッチンに立って
朝食の用意。
「おはよう」
夕月さんの声に振り返った。
「おはようございます」
「早いね。まだ7時だよ?夏休みでしょ?」
夕月さんは椅子に座りながら意外そうに言った。
まだパジャマのままだ。
「朝が好きなんです。だからつい休みでも早起きしちゃって」
「ふーん、いいね」
俺なんか昼過ぎまで寝てるけどね、とインスタントコーヒーを淹れ始めた。
「いつもコーヒーだけだったのにビィが朝食作ってくれるからよかったなー」
夕月さんは料理がさっぱりなので、
私が食事をつくることになった。
よろしくね
なんて
頼まれちゃうと断れない。
…正直、夕月さんの料理を食べたくはないし。
私たちはさっさと朝食を済ませるとそれぞれ自分の部屋に戻った。