秘密の鎖

…なんとか。


小雨の降る中、私は莉沙の家までたどり着いた。


はぁ…
疲れた。


あっちで迷い、こっちで迷いして、1時間かけてここまできた。

帰りは…まぁ、なんとかなるだろう。


「ふぅー」


私はピンポーンと莉沙の家のチャイムを鳴らした。


『はいはーい』


莉沙の元気な声と、バタバタと走る音がしたあと、ドアが開いて笑顔の莉沙が顔を出した。


「遅かったねーっ、て、あれ?どうしたの?なんかめっちゃ疲れてない?」


莉沙はすぐに私の疲れに気づいた。

それだけ顔に出ちゃってるんだろう。


「うーん、道に迷っちゃって…」


莉沙に続いて家に上がり込みながらそう言うと、莉沙は不思議そうな顔をした。


「迷うって…」


そうだった。

そういえば莉沙にはまだなんにも話してなかったんだ。

急だったしね。


「うん、実はさ…」


莉沙からオレンジジュースの入ったグラスを受け取り、今 私に何が起こっているかを簡単に説明した。

で、今は異母兄(違うけど)の家にお世話になっていて、その異母兄(違うけど)っていうのが例の男の人だったということを話すと、
莉沙はこれでもかってぐらいに目をまるくした。

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