秘密の鎖

「えーっ!!嘘でしょお!?」


だよね。

私も嘘だと思いたい。

あのまま夢の人のように憧れ続けていられたほうがどんなによかったか。


莉沙は半分驚き、半分面白がっているような笑みをこぼしながら
チョコレートの包みをひとつあけると口に放りこんだ。


「でもやばいね、私だったらその人と一緒に暮らしてるってだけでソットーしちゃうよ。てか、死ぬ。死ぬね、うん」


何がやばいのか。

…まぁ いろいろ思いつくけどさぁ。


私もチョコレートを口に頬張ると、
莉沙は溶けたチョコレートがついた指を舐めながらニヤニヤしだした。


「ドッキドキのシチュエーション、期待しちゃうね」

「は!?」


私はまだ形がしっかり残ったチョコレートを丸飲みしてしまった。


「そんなん、ないから!ぜったい!」


うっ、ノドの奥がキモチワルイ。


怪しいなー、とかなんとか言いながら莉沙は私に迫ってきた。


「だって、カッコイイじゃん」

「うん」


それは認める。


「それに、優しいんでしょ?」

「…まぁ?」


優しくないような気もするけど、大体優しいかな。


「高校生の女の子と2人暮らし!」


莉沙は手をお祈りするような形に組んで、目をキラキラさせた。


「もしかしたら、もしかしたらなんてことがっ、あるかもしれないじゃない……!」


「なーいーかーらー!」


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