秘密の鎖

「え?付き合うって、ココに?」


「うん」


夕月さんはにやりと笑って私の手をとると、
かわいい着ぐるみが待ち受けるゲートの中へ入っていった。



風船を持つ子ども。

くるくるまわるティーカップに

ものすごい速さで頭上を駆け抜けていくジェットコースター。


そう、ここは遊園地。

家から引っ張りだされて到着したのはここだった。


「なんで!?」


「妹と来るっていったらここだろ」


「はぁ!?何ですかそれ、そんな決まりないから!」


まぁまぁ、と夕月さんが私を制す。


「今日は親睦を深める会。っていうのは重苦しいからデートごっことしてとらえてくれたらいいよ」


「ええっ?」


「気にしない気にしない、どんどん乗ろう楽しもう」



私はそれから夕月さんにジェットコースターからメリーゴーラウンド、お化け屋敷まで、
かたっぱしから連れまわされた。


途中からは私も本気で楽しんでて、結局全部乗っちゃったんじゃないかと思う。


気づいたときには
辺りはもうすっかり暗くなっていた。


「最後にアレ乗らない?」


私は夕月さんの指差した方向を見た。




げっ・・・


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