秘密の鎖
私は茫然としていた。
気づくと、白い布を被った長方形の箱の前で、固い座布団の上に正座をしていた。
目の前で花に囲まれて笑っている、写真の中の男性。
この人は誰だったろう。
ふと周りを見ると、優也が隣で泣き続けている。
たくさんの人でいつもより賑わっていた仏間も、今はもう人がいなくなって、ガランとしている。
「さ、もう遅いし、優也は寝なさい」
キッチンにいたお母さんが仏間に入ってきた。
「優也、寝にいこうね」
「うん…」
優也が立ち上がるのを手伝って、寝室の前に連れていった。
「ひとりで寝れる?一緒に寝てあげようか」
「ひとりで寝れるよ」
冗談めかして言うと、優也はやっと笑った。
優也がベッドに入るのを見届けたとき、突然インターホンが鳴った。
「美緒ー、出てくれない?」
「わかった」
誰だろう、こんな時間に。
不思議に思いながらドアをあけた。
ドアの前に立っている人。
その人を見て
私は固まった。