秘密の鎖
「ごめんって。そんなに怒らないでよ」
帰りに寄ったレストランで、無言で食べ続ける私に夕月さんが言った。
……わかってる。
こんなことするのコドモみたいだって。
でも、始めちゃったからにはいつやめたらいいかわからなくて
やめようにもやめれない。
「今、ビィがどんな顔してるか教えてあげようか」
その言葉に私はフォークの動きを止めて顔をあげた。
「ほら、そっくり」
夕月さんが手に持っているのは
私が投げつけたブタのぬいぐるみだった。
カッチーン
「しつれーな!」
ぬいぐるみを奪いとって抱き抱えた。
「ブタちゃんのほうが10倍カワイイですよ!」
夕月さんはちょっとぽかんとしたあと
急に吹き出して笑い始めた。
「な、何?」
何で笑ってるのかわからない私は
ぬいぐるみを抱えたままオドオドした。
「ビィのほうがカワイイ」
涙目で笑う夕月さんにわけがわからないままキョトンとしていると
夕月さんは笑うのをやめて優しい顔で私を見た。
「よかった。口、きいてくれた」