秘密の鎖
「はーい、美緒ちゃん。お姉さまが来てあげたわよ~!」
………へ?
入ってきたのは
ドロボーじゃなく、私のホントの異母姉、
こころさんだった。
私は布団の端をしっかり握りしめたまま、
ポカンとしていた。
なんでこころさんがココに………?
「夕月が電話してきたのよー。心配だからみててやってくれって」
こころさんは手を口元にあててププッと笑った。
「あ…の、でもいいんですか?予定とか…」
「いいのいいの大丈夫!嫁ぎ先が結構お金持ちだからさ、働かなくてもいいの。子どももいないし、ヒマな主婦よ、私は」
そっか、こころさんは結婚してるって夕月さんも言ってたっけ。
「夕月さんは何の仕事をしてるんですか?」
「大学生よ。3年生」
「…………っ、ええええ!?」
驚きすぎてベッドから転がり落ちそうになってしまった。
「だ、大学…!?」
「あら、知らなかったの?」
だっ、だってだって!
いつもスーツ来てどっか行ってるじゃん!
ピシッとパシッと決めて意気揚々に『いってきます』じゃん!!
「あー、でも、今は《仕事》なのかしらー。塾講師のバイトやってるらしわよ、夏休みだけ」
「あ…そうなんですか……」
スーツの謎が解けた。
塾講師か、なるほどね。
……でも、学生って感じしないな。
大人っぽくて。