秘密の鎖

「構わないんです。その…私が来たことも言わないで下さい」


「え…でも」


「また来ます。あ、私、彼女の皐月ららっていいます」


カ ノ ジ ョ ?


「それじゃ」


ペコリとして彼女は帰っていった。


え 嘘 彼女?

ホントに?


いや でも……
いてもおかしくない…ってゆーかいなきゃおかしいよね顔的にっ。


部屋に戻ってひとり悶々と考えこんだ。


「ただいまー」


「!」


夕月さんの声に私は部屋を飛び出した。

靴を脱いでいる夕月さんをじろじろ眺めていると、夕月さんの手が急に頭の上に降ってきて、頭をくしゃくしゃやり始めた。


「わわっ!!何すんのっ」


「俺が帰ってくるなり部屋を飛び出してきて。さびしかったんだろー」


「ちがうしっ」


くしゃくしゃしてくる手をパシッと払うと、
夕月さんはわざとらしく悲しそうな顔を作って、ビィに振られた、と言うと着替えにいってしまった。


もう!
絶対私で遊んでる!


作っておいたカレーを温めて、2人分テーブルに並べた。

スプーンを取りにいっていると、着替え終わった夕月さんがいて、テーブルの上を見つめていた。


「どうしたんですか?」


そう尋ねるとにこって笑った。


「いや、もう9時だなーって思って」


「は?」


意味のわからない答えに首をかしげると、夕月さんは何でもない、と言った。






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